カーラッピングの耐用年数はどれくらい?
カーラッピングをするかどうかで悩んでいるときに長期的な活用を見越している場合には耐用年数がどのくらいあるのかが問題になるでしょう。一般的にはどのくらい品質が保持されるものなのでしょうか。
また、事業として活用しようと思っている場合には法的にどのような扱いを受けているのかも理解しておくと役に立ちます。
メーカーや施工業者はどのように考えているか
カーラッピングを施工している業者やそのラッピングのメーカーはどのくらいの耐用性があると考えているのでしょうか。ラッピングのためのフィルムの耐用性がどれだけあるかは試験的に検証はされていますが、何年もテストを続けるわけにはいかないというのは想像できるでしょう。
あまりに長期にわたる試験をおこなってしまい、販売が遅れれば他のメーカーとの競争に負けてしまうことになりかねないからです。そのため、短期間の試験のデータを基にして科学的に考え、メーカーとしてどの程度なら品質を維持できるかを示しているのが一般的です。
使用するフィルムの品質の高さによってメーカーがどのような見解を出しているかには違いがありますが、通常の使用環境であれば耐用年数は3年から5年程度という場合が多くなっています。全体的な傾向としては3年としていて、それ以上の保証値を示しているケースではプレミアム価格のフィルムになっているのが一般的です。
使うフィルムの材質に加え、使用する塗料の種類によっても耐用性はかなり変わってしまいます。基本的には耐久性が高いフィルムを使用し、退色していかないような塗料を用いると価格は高くなってしまうことは否めません。
安くて高性能なフィルムや塗料が開発されれば状況が変化する可能性はありますが、より高性能となれば付加価値があるのでメーカーも高い価格で販売するでしょう。そのため、安くラッピングしようと思うと耐久性をある程度は疎かにしなければならないのです。
ただ、使用環境による影響が大きいので必ずしも3年後や5年後に見るも無残な状況になってしまうというわけではありません。車の表面を覆うようにしてラッピングをするので、いつも太陽光にさらされている状況になり、雨が降れば水浸しになり、風が吹けばホコリだけでなく大きなゴミや木の枝などもぶつかるリスクがあるでしょう。
太陽光による大きな温度変化もあれば、気候の変動による湿度変化の影響も受けることになります。例えば、あまり運転することはなく、いつもコンクリート造りの車庫の中に車が格納されているのであればあまり劣化が進むことはありません。
しかし、毎日のように街中を走行していて、太陽光にも風雨にもさらされているというケースもあるでしょう。この場合にはメーカーが想定していた以上に劣化が進んでしまって3年未満で色あせやラッピングの剥がれが気にかかるようになってしまうリスクもあります。
使用環境に関する具体的なガイドラインがあるわけではないので、メーカーによって基準にしている環境が異なるのも留意しておかなければならない点です。同じメーカーであれば同じ条件でテストをして耐久性を評価しているのが通例ですが、他のメーカーと全く同じ条件であるとは限りません。
あるメーカーのラッピングを使えば3年は良好な状態を維持できるのに、別のメーカーのを使うと一年でみすぼらしくなってしまうということもあるのです。安易に何年間は大丈夫だという解釈ができないことは念頭に置いておきましょう。
塗装する場合との違いも確認しておこう
カーラッピングをする代わりに塗装で対応することもできるでしょう。塗装の場合には車に直接塗料を塗っていくというのが、フィルムを貼るラッピングとは異なっています。どちらも塗料を使うという点では同じなので、塗料の劣化が起こってしまうことは同じです。
ただ、フィルム上に使える塗料と、車の表面に使用可能な塗料には違いがあるため、それに伴う耐用年数の差も生じる可能性があります。また、カーラッピングの場合には退色が問題になるよりも、フィルムが剥がれてしまって使い物にならなくなってしまうケースのほうが多いのが実態です。
この違いが耐用年数にも大きな差を作っていて、塗装の場合には塗料の選び方次第では10年から15年程度も品質を維持することができます。長期的に使いたいと考えたら塗装は優れている方法ですが、安易に塗装してしまうのも問題なので気をつけましょう。
塗装の耐用年数は下地になっている車の状態によって大きく影響を受けます。傷だらけになってしまっていると塗料のノリが悪くなってしまい、剥げてしまいやすくなることは否めません。
また、汚れが少しでも残っていると、その部分で塗装が剥がれてきてしまうこともあり、施工業者の力量がかなり完成度に大きな影響を及ぼすのです。それに比べるとラッピングの場合にはフィルムを貼るという作業になるので、微細な傷があってもまとめてラッピングで覆い被せてしまうので大きな問題にはなりません。
事故車で凹みが目立つような場合にはラッピングがうまくいかないこともありますが、見た目できちんと平らになっているのが見て取れるようならきれいに貼ることができます。技術的にも塗装に比べると難易度は高くないので、何度も経験をしている業者であれば剥がれにくい形でラッピングをしてくれるでしょう。
耐用年数に関するリスクの低さという観点からはラッピングのほうが優れているのです。また、元に戻したいと思ったときにもカーラッピングのほうが便利です。ラッピングは剥がすことができるので、丁寧に剥がし取っていけば元通りにすることができるでしょう。
しかし、塗装の場合には塗料をきれいに剥がすのは困難で、ある程度は剥がし取ったうえで塗装し直すことが必要になります。きれいに塗料が剥がれてくれないと凸凹ができてしまって見栄えが悪くなってしまうこともありますが、カーラッピングならその心配がありません。数年後に見た目が悪くなってきたら、剥がして新しいものでラッピングし直そうという考え方で使いこなせるのが魅力と言えます。
法的にはどのような対応になっているか
事業としてカーラッピングを施した車を使っていこうというときには法的に耐用年数がどのように定義されているかが気にかかるでしょう。減価償却を考えるときに何年になっているかによって償却の仕方が変わってくるからです。
建物の塗装などの場合には塗料の耐用年数が減価償却に影響するのは確かですが、現状としてはカーラッピングについては減価償却の対象として扱われていません。消耗品費として計上して一回で必要経費として処理することになってしまうということは覚えておきましょう。
カーラッピングの耐用年数はメーカーとしては3年から5年程度としていることがほとんどです。ただ、使用環境による影響がとても大きいため、もっと短い期間で剥がれや色あせが気になってきてしまうこともあれば、ずっと長く使えることもあるので一概には言えません。
塗料で塗ってしまうのに比べると耐久性は低いですが、きれいに剥がしてしまってラッピングし直すことができるメリットもあるので有効活用しましょう。法的には減価償却の対象となっていないということには留意して使用するのも大切です。
どのくらいの期間でラッピングし直す必要があるのかを念頭に置いて、次の予算も確保しておくといつもきれいにラッピングした車を使用できるでしょう。