料金が安いところはカーラッピングの仕上がりも荒い?
カーラッピングをするからには完璧で美しい仕上がりにしたいと思う人も多いでしょう。ただ、料金を複数の業者で比較してみるとかなりの差があるのに気づくことになります。その違いを見ると、料金が安いところは仕上がりも荒くて納得できるようなラッピングにはならないのではないかと心配になるかもしれません。料金と仕上がりにはどのような関係があるのでしょうか。
専門業者はどこでもプロフェッショナル
専門業者に依頼してラッピングをしてもらうときには「きれいに仕上がるはず」と思うのは当然のことです。期待を裏切られてしまうくらいなら高い業者に依頼したいと思うかもしれませんが、まず料金が安くなっている業者では本当に荒い仕上がりになってしまうのかどうかを考えてみましょう。カーラッピングを請け負っている業者はどこもプロフェッショナルであることに変わりはありません。
そのため、基本的にはどのショップに依頼したとしても高いレベルの精度で仕上げてもらうことができます。料金の高低よりも重要なのは経験をどれだけ積んでいるかです。ラッピングに専門的に取り組んでいるならかなりの数のオーダーを受けています。
他のサービスをとくに提供していないという場合にはラッピングのオーダーがいつも殺到しているくらいでないと事業が成り立たないでしょう。事業を続けるためには相応の収益を得なければならないことからオーダーが充分にあると想像できるのです。つまり、きちんと事業利益を得て経営を継続できている専門業者であれば経験を積んでいて、高いレベルのラッピングをしてくれると期待できます。
高いからよいとは限らないのも事実
それでもやはり料金が高ければよいのではないか、安くては心配だと思ってしまう人もいるでしょう。この際に考えてみるとよいのが、高ければよいのかどうかということです。料金が高ければラッピングの仕上がりが荒くならないと考える根拠は何なのでしょうか。ラッピングをするときにはデザインをシールにプリントしていき、裁断して車に貼り付けていくことになります。荒いか荒くないかを分けるのは裁断して貼り付ける作業で、現在では裁断まではコンピューター制御でできるようになっているのが普通です。
そのため、最後に完成したシールを張り付ける作業をいかに丁寧に行うかが仕上がりの良し悪しを分ける重要な要素になっています。経験が重要というのはこの貼り付けの経験をどれだけ積んでいるかによって美しく仕上げられるかが左右されるからです。料金との関連性を考えてみると、この作業の丁寧さが反映されるのは作業費や工賃と呼ばれる部分です。言い換えると人件費や各種消耗品費、電気代などが組み合わさったものと考えることができます。
つまり、腕がよくて優秀な人材を高い給料で雇っている場合には作業費が高くなって料金が上がります。その結果として丁寧な作業をしてくれて美しくラッピングできるという場合もあるでしょう。しかし、とくに腕がよいわけではないけれど営業力があるから高く雇われているというケースもあれば、マネジメントもできる点を高く評価されて給料が高い人もいます。
その影響で全体的に人材の単価が上がってしまっていると、技術力はたいしたことがないのに料金は高いということになる可能性があります。単純に料金が高ければ技術が優れている、優秀な人材が担当してくれると考えることはできないのです。また、料金には業者が得る利益分も含まれています。
まったく同じレベルの作業をできる人が同じ給料で雇われていたとして、利益分を20%とする業者と40%とする業者では後者のほうが高いのは明らかでしょう。しかし、技術的には同レベルなので仕上がりは同じになってしまいます。このように業者の利益幅に対する考え方によっても料金が左右されるので、高いからといって仕上がりがきめ細やかになるとは断言できないのです。
ただ、作業に対する人件費は人材の単価に時間をかけたものになります。時間をかけてゆっくりと作業をしたほうがミスは少なく、仕上がりもよくなる可能性が高いのは確かでしょう。このような考え方で作業時間を充分に設けて丁寧な作業を促しているために料金が高くなっているのであれば、仕上がりが美しくなる可能性があります。
また、技術習得のために社員教育に費用をかけている業者もあるかもしれません。その費用が料金に上乗せられていると確かに技術的に優れているから料金が高いということになるでしょう。どのような仕組みなのかは業者ごとに異なるので、内情を調査して確認する必要があります。
安すぎるカーラッピングはリスキー?
逆に安くても大丈夫なのかという議論になると、また一概にはいえないという結論に達します。荒い仕上がりになってしまうリスクが高いようなやり方でコストを削減し、料金を安くしている業者もないわけではないからです。原材料費と作業費について考えてみるとよく理解できるでしょう。
原材料として一般的に使われている素材よりも劣悪なものを安く手に入れて使うというケースもあるかもしれません。見た目には美しくできているけれど劣化が早く、通常のラッピングに比べてすぐに色あせてきてしまうといったこともあり得ます。また、シールがしっかりとしていなくてはがれてきてしまうリスクもあるでしょう。劣悪品を使っていないかどうかは業者に直接確認してみるのが無難です。
一方、作業費についてはやはり人件費を格安にして対処しているケースがあるので注意しなければなりません。腕のよい正社員を一人雇うよりも学生のアルバイトを雇ったほうが安上がりなのは明らかでしょう。ラッピングは手先が器用な人なら少し練習するだけで美しく貼り付けられるようになるので、アルバイトを雇って作業をさせている現場も少なくはありません。本当に器用なアルバイトが何度も練習をして対応してくれれば荒い仕上がりになってしまうことはないでしょう。
しかし、実際にはお客様のカーラッピングをしながらOJTでトレーニングをしているケースが多く、たまたま不器用な人に当たってしまったり、実は今回が初めてのアルバイトに担当されてしまったりすると大変なことになりかねません。やり直しをしてくれて助かる場合もあるものの、余計に時間がかかるなどのトラブルが発生することもあるので気を付けましょう。
他にも作業時間を減らすためにノルマを課していて、急ぎの作業になるために荒い仕上がりになるといったリスクもあります。ただ、逆に安いけれど仕上がりはよいということもあります。典型的なのは個人事業主としてサービスを提供しているケースです。個人事業主が一人で仕事をしていると人件費がかからないので、利益分も抑えてあればかなり安上がりになります。腕がよい人であれば美しく仕上がるのも確かで、安くても魅力的なラッピングになることもあるのです。
カーラッピングは安いと仕上がりが荒くなるリスクがないわけではありませんが、高いからといって仕上がりがきれいになるとも限りません。料金と品質は必ずしも比例関係にはないので、業者がどれだけ経験を積んでいるか、料金をどのようにして決めているかを見極めましょう。安くても個人事業主のサービスの場合などにはかなりレベルが高いこともあります。専門業者ならプロフェッショナルとして仕事をしてくれるので大きな心配はありませんが、その中でも腕のよい人に担当してもらえるところを探すようにしましょう。