カーラッピングのフィルムの耐久性はどのくらい?
カーラッピングは、特殊なフィルムを車のボディに貼り付けるものです。
印刷したものを貼ることができ、剥がすのも簡単なためバスなどで宣伝広告を掲載するために使われるのをよく見かけますが、会社の車だけではなく個人が利用するケースも増えています。
専門の業者に依頼して施工してもらう他にも、個人がフィルムを購入して貼り付けるといったことも行われます。
もくじ
カーラッピングを利用するメリット
カーラッピングを利用するメリットは簡単にさまざまな文字や図柄を車に貼り付けることができることです。
塗装するわけではないのでこれらを剥がすことで元の状態に戻すことができます。
このためバスなどの宣伝広告に使われていますが、その他にもトラックや商用車にも利用されています。
車体にフィルムを貼り付けるため、それがボディを保護してくれ、売却時に経年劣化を感じさせない状態に保存できるので、価値が高まります。
特に短期間での買い替えを考えている場合には、塗装を保護する面でもメリットがあります。
このような理由から商用目的で施工するところも増えています。
一方で商用とは異なって行うところもあります。
例えばレースカーなどはスポンサーの広告をボディに貼り付けますが、その際にステッカーではなくこれらのラッピングによって全体的に施すといったことができます。
また個人が趣味として利用することもあり、アニメやマンガのキャラクターなどを描いた痛車はカーラッピングの技術が発展したからこそ増えたといえます。
さらに、高級車のボディを保護する目的で選ぶ人も増えています。
カーラッピングのデメリットは?
カーラッピングのデメリットはコストです。
とくに短期間で貼り替えるような場合には、ラッピングのコストは高くなります。
一般的に車をフルラッピングするためには60万円から80万円程度かかりますし、耐用期間もメーカーでは約3年としています。
つまり80万の費用を掛けて耐用期間が3年とすれば、年間約27万円の費用が掛かることを意味します。
このように高額な費用がかかるため、主なニーズはバスやトラックなどの宣伝広告が中心といえます。
また耐久性の問題のほかにもデメリットとして、フィルムを貼った状態では補修できないことがあります。
車が傷ついた時でも貼ったままでは修理をすることができないため、一度剥がす必要があります。
フィルムも太陽光によって色が褪せていくこともあります。
部分的に貼り直すと違和感が出るため、その際は結局ラッピングをやり直すことになり、修理コストがその分高くつくでしょう。
また、剥がしやすい素材を使っているとはいえ劣化している塗装に対しては注意が必要です。
古い車でラッピングを剥がす作業を行うと、塗装が剥がれてしまうこともあるため、状態の良い塗膜でないと利用することができません。
カーラッピングに使われるフィルム
カーラッピングの良し悪しはフィルムの種類で変わってきます。
日本メーカーでは住友3Mが専用のものを提供しており、日本で使われているもののほとんどが、3Mの商品です。
色は、インクジェットプリンターで印刷するための白地や透明なものから、色が付いたもの、メタリック、カーボンといった様々な商品が用意されており、商用車から一般車に至るまで、さまざまな施工に最適なものが販売されています。
3M以外では、フランスのHEXIS社が有名で、この分野では世界のトップメーカーとして知られています。
それぞれのメーカーが出している商品の特徴のひとつは、曲面に対して施工がしやすいということです。
バスやトラックなどの板状に施工する場合にはそれほど伸縮性は必要とされませんが、観光用の車両には曲面が多用されており、施工する際にはフィルムの伸縮性が求められてきます。
伸縮性がないと、シワになったり、空気が入るといったリスクがあり、うまく曲面にフィットできずに仕上がりも良くならないでしょう。
このためカーラッピングで使われるフィルムは一定の伸縮性のあるものが好まれます。
貼り付けた場合の耐久性はどれぐらいなのか?
メーカーによると、フィルムの耐久性については約3年となっています。
あくまでも3年間はその目的を達成することができるだけの耐久性があるということで、実際のところ使用状況によって変わってくるでしょう。
例えば使用環境が劣悪な場合には劣化が激しくなりますし、飛び石の多い場所でよく使うと傷つきが発生するものです。
もちろん、カーラッピングはボディを保護する役目を果たしますがそれにも限界があり、未舗装の道路を走行する機会が多い場合には表面が傷だらけになってしまいます。
そうなれば見苦しい状態になり、3年以内でも交換したくなるでしょう。
また、高温には弱いため、マフラーの周囲は、その他の部分よりも早く劣化します。
使用するには不向きですが、もしも施工する際には熱に晒される部分へ耐熱シートを貼るなどして、剥がれないようにするといった工夫が必要になるでしょう。
ただし、使用状況がそれほど過酷でなく保管状況が良好な場合には、耐用年数以上にきれいな状態を保つこともできます。
とくに保管方法は重要で、ダメージを与える紫外線からボディを守ることができるガレージに車を入れることによって、劣化を最小限にすることができます。
3年という耐用期間の理由とは?
カーラッピングの耐用期間を3年と定めているメーカーがほとんどですが、実際には状態が良ければ3年が経過してもきれいな状態に保つことができます。
実のところ、この3年の耐用期間とはきれいな状態を保てる期間という意味ではありません。
この耐用期間の正しい意味は、実はきれいに剥がすことができる期間を指すものなのです。
カーラッピングの目的は、貼ることに加えて簡単に剥がせることも挙げられますが、長い間ボディと接着している状態が続くと次第にノリが固着していきます。
身近にあるガムテープなども貼った直後はきれいに剥がれますが、時間が経過すると次第にそれが難しくなり、ノリが多く残ることがあるでしょう。
カーラッピングでも同様のことが起こります。
メーカーとしては、きれいに剥がせるのは施工してから4年程度と考えており、可能であれば3年程度で貼り替えるのが、ノリも残らずきれいに剥がすことが可能となります。
もちろん、ノリが残ってもノリを取り除く作業をすればきれいな状態に戻すことができますが、そのためにかかる時間と費用が余計なコストとなります。
3年ごとに貼り替えるのがいいのか?
カーラッピングは耐久性から見れば保管状態が良好であれば3年以上はきれいな状態を保つことができます。
しかし、一方でノリが固着してくると、簡単に剥がすことが難しくなります。
このため、可能であれば3年で貼り替えることで車をきれいな状態に保つことができます。
この耐用年数を見た場合、商用車に向いていることがわかります。
バスやトラックの場合、宣伝広告の期間を3年とすればよいですし、また商用車についてもリースで借りているものであれば3年リースとしておけば、返却時に元の状態に戻せるのでそれほどコストとして感じることはありません。
このような理由から商用目的で利用するのが、もっとも効率が良くて、また需要が高いのです。
一方で個人が使用する場合には、コストが高く感じるかもしれません。
とくに、曲線が多様されている自動車の場合は、カットする枚数も多く施工そのものに時間がかかるので費用コストが高くなります。
ただ気軽に色を変えたり、図柄を自動車に表現すること、それに元の塗膜を保護するといった目的で利用するのであれば十分なメリットがあるでしょう。